田中三郎の日記

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旧制東京高等学校

20.大正12年10月25日から10月27日まで。ピアノが手に入らない。黒澤氏が見舞いに来る。

「10月25日(木)曇り夜小雨 朝早く竹須氏来たり。大井町宮本組合にて避難民慰安会を鹿島神社境内で挙行し、その際音楽もしたき旨、話あり。午後、原小学校に救助米を受けに行く際、山川氏の末子に会う。山川氏一同は震災後徒歩で野宿をして、二宮の別邸に行…

22.大正12年10月までのまとめ。

(附) 月日の経つのは早いもので震災以来二か月の星霜は過ぎた。顧みるに我が乞食となりてより、色々困難をなし、又、色々の経験をしたが、これ皆修養の一部分となった。帰って愉快である。一方震災当時は手に文庫と用箪笥んも一引き出しを持つに過ぎなかっ…

23.大正12年11月1日から11月4日まで。規矩士自宅レッスン再開

「11月1日(木)晴 9時半ごろ父と共に生麦新住宅地国道筋の永楽銀行の仮事務所に行き、規矩士兄の貯金、約280円を払い戻す。母の分は印を焼失の為、約一週間後に支払う由。銀行金の話によれば横浜支店は支店長外4名の事務員全部圧死せりと。それより生麦停留…

33.大正12年12月12日から15日まで。規矩士オーケストラに出演?

「12月12日(水)晴 母は風邪のため、朝遅く起きる。人見鹿太郎、林喜代子氏より手紙来たる。人見氏は学校のことにて忙しく、返事遅れし由。千代田火災保険の証券郵送し来たる。敬一兄は学校の帰り、西洋皿20枚(4円)買ってくる。これは病気見舞い返礼の為…

35.大正12年12月22日から24日まで。共益商社よりピアノが来る。ベートーヴェントリオの高階氏ドタキャン騒動(-_-)

12月22日(土)雨曇り 朝、山川氏、音楽会の切符(2枚)をとりに来る。副島、露木氏ピアノ稽古をなす。副島氏歳暮に砂糖を下さる。本日は音楽学校の学友会音楽会にて規矩士兄は10時ごろ出校す。 共益商社よりピアノ、椅子来たる。2時頃本牧のおじさん訪れる…

41.大正13年1月8日から1月12日まで。東京高等師範学校の入学試験当日です!皇太子殿下御成婚奉祝歌譜の写し

いよいよ東京高等師範学校の入学試験です!三郎さんガンバレ! 「1月8日(火) 朝5時に起きる。食を済まして直ちに袴を着け、如来様に礼して家を出る。 外はまだ真っ暗だ。 大森駅までは往来で人に会わぬ。駅にて少し待つ。 6時の省電に乗る。省電も大変…

52.大正13年1月24日から1月25日まで 寒いので病人多し4

「1月24日(木)晴 風 今朝は猛烈に寒く、井戸に氷が張った。故に天然の氷が出来たわけだ。敬一兄は気分益々良く、6時における体温36度7分。9時には36度1分となった。余は牛乳2合(20銭)と片栗粉を買いに行く。10時に敬一兄、牛乳にコンスタチーを混ぜて飲…

67.大正13年2月22日から2月23日  規矩士兄はオーケストラ演奏会に出演。敬一兄は東高に出勤!

2月22日(金)曇り夜少雨 規矩士兄は本日音楽会の総練習の由。朝、千葉の入野氏より規矩士兄に手紙来たる。それは震災見舞いとして新毛布を呈すると言う。場所は中渋谷(渋谷停車場を降り、左に大通りを行き、道玄坂に至らんとして右道に入り、大向小学校を…

72. 大正13年3月1日から3月3日まで。規矩士兄はご成婚記念御慶事記念大演奏会に出演する。

「3月1日(土)小雪 風 (震災後半年) 敬一兄は東高日である。余は今日起きた。そしてミルクと食パンの小片にバターをつけて食す。もう熱がない。けれども痰が出る。朝、3時頃、大変汗が出たので、着物を取り換える。セールフレザー社内の内田角蔵氏より…

77.大正13年3月12日から3月14日まで。敬一兄も規矩士兄も音楽活動盛んです。

「3月12日(水)晴 曇り夜小雨 朝、余は洋服屋に敬一兄の洋服の催促に行く。それは14日に月島校に学芸会があるので、それに間に合わせる為であるから。父の温度は6時に37度だ。重湯を飲む。青山学院に入学申込書願中の戸籍抄本の代わりに市長の証明書を代用…

78.大正13年3月15日 この当時の稽古日って?

3月15日(土)晴 朝、吉川君、本を(受験と学生10月号、幾何教科書)返しに来たる。余と2人にて池上本門寺に行く。本門寺境内にてしばらく休む。絶えず参詣者がある。それより蒲田に出ず。海の方面に軽気球が飛んでいた。風はすこぶる冷たいが、山の背は風が…

86.大正13年4月7日から4月12日まで。武高新学期。高崎の音楽会。稽古日なのに誰も来ない。メートル法のイベントに行った。

三郎氏は勉強を頑張りだしたらしく、記述が短くなっています。 「4月7日(月)雨のち曇り 午前中、余は独習。午後正則。定期を買う。3か月。学生券で9円50銭である。帰りにゴールドスミス・アンド・バイロンおよび英作文資料を買う。夜、湯に入る。 4月8日(…

90.大正13年4月21日から4月24日まで。規矩士兄はムンツのリサイタルに日参中2

4月21日(月) 今日は母、杉田に行く。余は学校に行く途中、帝国ホテル演芸場にて、規矩士兄のため、明日の音楽会入場券を買う。午前中洋服屋のかみさん来たる。夕方東京高等学校生徒来たる。 この日はムンツ氏のリサイタルはお休みのようです。そして三郎氏…

91.大正13年4月25日から4月30日まで。筍ご飯。小山作之助氏祝賀演奏会。

4月25日(金)曇り夕方小雨 規矩士兄は小山先生の音楽会が近づいたので忙しい。本日も学校に出る。朝、品川郵便局より父の貯金通帳調査するにつき、特急に出頭すべしとの通知あり。父は最速行く。 余は友人、荒波覚一君に手紙を出す。夜、筍ご飯を食す。本日…

92.大正13年5月1日から5月3日まで。火災保険の話。東高ハーモニカクラブ同好会演奏会

5月1日(木)曇り 今朝2時半ごろ半鐘が聞こえた。寺の下方面の火事があったのだ。 本日の朝刊に火保支払いの広告が出た。支払い開始日は5日よりにて、その前に損害調書を会社に提出せねばならぬ。調書提出日は本日より来月末日までで、我が家にては三菱海上…

94.大正13年5月7日から5月12日まで。水星の太陽面通過。第15回衆議院総選挙になんだか他人事。

「5月7日(水)曇りのち晴 昼前、父は大井通りの呉服屋に行く。敬一兄は少し風邪をひき、学校より帰りてふり出しを飲み、寝る。規矩士兄は分教場の帰りにバルダス教授の音楽会に行き、10時ごろ帰宅す。父は夜、竹須方の湯に行く。」 バルダス教授の体調は復…

95.大正13年5月13日から5月19日まで。蚊が出て来たので蚊取り線香で退治。イチゴの季節となったのでイチゴミルクを食べた。平穏な日々。

「5月13日(火)晴 規矩士兄は武高日。余は正則の帰り、神田にてだんごを買って来たり。竹須方に分ける。30銭買ったのだが、たくさん来た。いよいよ蚊が出始めた。蚊取り線香で退治する。本日も母、灸をすえる。夜、余は幼児にて立会原まで行く。父は竹須さ…

96.大正13年5月20日から5月24日まで。武高の一木校長の慰労会中止。アメリカから飛行機が来た。生徒さんからイチゴやバラいただいた。蚊帳の用意。

「5月20日(火)曇りのち大雨 正午、余が正則に行く時、大雨であった。夜、虎之助氏、蚊帳の見本を持って来たる。本日は武高の一木喜徳郎氏の慰労会が精養軒であるとことであったが、中止となった。父は茶の間の障子を貼り替える。足立先生より礼状来たる。…

98.大正13年5月28日から5月31日まで。平穏な日々。5月まとめ

5月28日(水)曇りのち晴 午前中、父、竹須方に遊びに行く。余は学校の帰りに団子を20銭買う。『教育音楽』17号送り来たる。夜、父の規矩士兄は、山中小学校校長岡野氏宅に行く。 5月29日(木)晴一時曇り 朝、洋服屋、ピアノの型を取りに来たる。昼食後に天…

101.大正13年6月6日から6月7日。規矩士兄は福島女子師範学校開校祝賀式記念音楽会に出演。夜、花電車を見に行く。

6月6日(金)曇り 昼前、父母は大森にYシャツを買いに行く。明日、規矩士兄は福島の音楽会に出張するにつき、竹須方に旅行用かばんを借りに行く。夕方、伏島氏来たる。本日より母に灸をすえる。午後、元泉いとし、大貫氏の息子(立教大学生)と共に来訪され…

104. 大正13年6月16日から6月22日 松濤幼稚園のチャリティーコンサート出演。芝離宮に遊びに行く。バルダス教授告別演奏会。

6月16日(月)曇り 父、敬一兄は夜散歩。 6月17日(火)曇り 夜雷 規矩士兄、本日武高を欠席す。小山先生より還暦祝賀会の謝礼状来たる。学校の帰りに『スケッチブック講義』を買う。夜、中西、井口、伏島(姉弟)来たる。敬一兄も腹の具合が悪くなり、粥を…

110.大正13年7月18日から7月21日。中谷氏が調律に来る。

7月18日(金)晴 午後、中谷氏(調律師)ピアノ調律に来たる。親子丼、サイダーを馳走す。夜、洋服屋、敬一兄の上着(カシミヤ)の仮縫いを持って来たる。湯に入る。隣の後藤氏の息子、安全組合の報告書を持って来たる。湯に入る。隣の後藤氏の息子、安全組…

127.大正13年9月4日から9月11日まで。夏休みが終わる。

9月4日(木)曇り夜大雨 忍耐は快楽の門なり 午前中、露木、時澤(妹)、内藤氏来たる。父母は大森に箪笥を買いに出たる。午後4時ごろ小微震あり。夜、湯に入る。父、規矩士兄散歩。山田清君より手紙来たる。夜8時頃大雨となり、雷もした。」 また台風で…

128.大正13年9月12日から9月20日まで。規矩士兄は米沢に演奏旅行に行く。

「9月12日(金)雨 時ある時に時を得よ 規矩士兄、夜、分教場にて、伊達氏、末吉氏の合奏練習をなす。11時頃帰宅す。帰宅後(夜半)、伊達氏より「米沢の音楽会主催者の住所を明日知らせよ」との電報あり。洋菓子を元泉方にあげる。神田でカバン(1円80銭)…

131.大正13年10月5日から10月11日まで。雨が多い。一家して順番に風邪をひく。

10月5日(日)曇りのち雨 朝、虎之助氏来訪。洋服屋主人、規矩士兄のモーニングコートの仮縫いに来たる。母は珍しく杉田に遊びに行く。杉田のおばさん、おしげ氏、皆に会う。杉田名産梅漬を2個いただく。朝、10時ごろに家を出て、7時半ごろ帰宅。夜食は敬一…

135.大正13年10月31日2 高尾山に遠足に行く2

(続き) 「この辺りには茶屋が多く、登山者は休憩している。これより坂道となる。杉並木の坂道は少し滑るような具合であった。道は登るに従い細く、急になってくる。汗はだくだく出る。途中で休んでいる人もある。余は休まず上までやっつける。」 三郎氏が…

139. 大正13年11月13日から11月22日まで。虎ノ門事件の判決。お友達と日比谷に演奏会に行く。 

11月13日(木)晴 朝、本牧の兼吉氏、杉田のおばさん危篤を知らせに来たる。母は兼吉氏と同伴して杉田に行く。昼頃号外出る。虎之助氏は朝、4時頃起きて大審院に行ったが、もはや満員にて入場拒絶なりしと。虎ノ門事件は昨年の12月27日の事なり。規矩士兄、…

142.大正13年11月27日から11月30日まで。東京外国語学校の国情展覧会に行く。東京音楽学校での第九公式初演

11月27日(木)晴 朝、神田にて規矩士兄に頼まれて「元泉氏に入場券売り切れ」の手紙を速達にて出す。時澤、西宗、田崎、黄、岡氏等来たる。また新たに(空欄)氏来たる。風月菓子をくださる。夜、湯に入る。 11月28日(金)晴 本日は音楽会の試演。満員の盛…

143.大正13年12月1日から12月7日まで。ジンバリストの演奏会。第九の演奏会の事故。第九の追加公演

12月1日(月)晴 12月分月謝を払う。経済学の試験は15日と決定す。父、東京に遊びに出て、月島校に寄る。夜、父は竹須さんの湯に行く。吉川君に昨日の礼手紙を出す。 12月2日(火)晴 時澤方より亀屋洋菓子をくださる。規矩士兄、武高日。夜、田坂、竹澤、藤…

144.大正13年12月8日から12月17日まで。腕時計を買ってもらった。中大で試験があった。親戚が亡くなった。敬一兄は風邪。

12月8日(月)晴 父、山上方に移転祝いに出る。午前中虎之助氏、来訪さる。父、三又にて余の腕時計(7円80銭)を買う。6時頃2回小微震珍しくあった。湯に入る。」 三郎氏は腕時計を買ってもらいました。下のウェブサイトによると、関東大震災のあと、ちょう…