大正13年10月
9月28日(日)晴 午前9時に万世橋で氏森君と会し、上野公園を散歩する予定であったが、10時になっても氏が見えぬので、余は単身浅草に向かう。浅草公園は震災前と同様、すこぶる賑やかだ。50銭を投じてオペラ館に入った。まことに幼稚なオペラである。本日は…
10月5日(日)曇りのち雨 朝、虎之助氏来訪。洋服屋主人、規矩士兄のモーニングコートの仮縫いに来たる。母は珍しく杉田に遊びに行く。杉田のおばさん、おしげ氏、皆に会う。杉田名産梅漬を2個いただく。朝、10時ごろに家を出て、7時半ごろ帰宅。夜食は敬一…
10月12日(日)曇りのち晴 青年再来らず一日晨なし 今日は池上本門寺の御会式である。朝のうちは降雨であったが、だんだん青空が見え、午後からは快晴となった。 朝、洋服屋、規矩士兄のモーニングコートの仮縫いに来たる。ついで虎之助氏来訪。更に杉田の庄…
10月17日(金)曇り 風 神嘗祭 君子は其独を慎む 段々と寒くなってくる。 (三郎さんの日記が短い。) 10月18日(土)晴 本日、明日は鹿嶋神社の本祭である。夜、父、規矩士兄と3人で参詣に出る。明日は境内の広場で相撲がある。土俵を中心に方形の立派な桟…
10月31日(金)曇り 天長節 中大専門部経済科1年生のクラス会の代わりに、高尾山遠足をせんと言うので、余もその団体に加入することにした。本日午前6時半までに新宿駅前に集合するのである。余は4時に起きて、飯を済ませ、昨夜買っておいた菓子パンを携帯し…
(続き) 「この辺りには茶屋が多く、登山者は休憩している。これより坂道となる。杉並木の坂道は少し滑るような具合であった。道は登るに従い細く、急になってくる。汗はだくだく出る。途中で休んでいる人もある。余は休まず上までやっつける。」 三郎氏が…