田中三郎の日記

カテゴリーに月ごとに分類してあります。カテゴリーをクリックしてから入ると読みやすいと思います。

中央大学

120.大正13年8月28日から8月31日まで。武高の生徒のためにヴァイオリンを選んだ。

8月29日(金)曇り 中央大学に提出すべき入学願書、履歴書を書く。また平町の虎之助氏に手紙を出す。敬一兄、少し風邪をひき、痰が出る。午後、武高の生徒の父兄来訪さる。右は規矩士兄が生徒の為、ヴァイオリンの選定をしたその礼である。カルルス煎餅をく…

123.大正13年9月1日1.あれから一年が過ぎました。

あの「関東大震災」から1年が過ぎました。横浜にあった田中家は罹災してしまい、結局大森に引っ越しを余儀なくされました。 大事にしていた楽譜、音楽書、レコード、そしてベヒシュタインのピアノもすべて灰となってしまいました。あの日は近所の神奈川県立…

124.大正13年9月1日2.9月2日。新聞記事を写す。中央大学の別科に編入することになった。

三郎氏は新聞記事を熱心に写します。この当時はコピーはないので手で写すしかないです。やはりいろいろと思うことは多かったと思います。 東京日日新聞。 銀座では、追悼のため2時間休業をするようです。 摂政宮(昭和天皇のこと)同妃殿下は新宿御苑で栽培…

125.大正13年9月3日1 東京市主催震災復興展覧会に行く。(関東大震災100年記念イベント情報も)

(久しぶりに長い日記です) 9月3日(水)曇り 今朝4時半ごろスリパンが鳴る。これは震災記念に打ったらしい。半鐘で人々早く起きてしまった。」 スリパンとは擦半鐘のことらしいです。 kotobank.jp 朝早くから「火事だ火事だ」と半鐘が鳴ってしまったら、ビ…

127.大正13年9月4日から9月11日まで。夏休みが終わる。

9月4日(木)曇り夜大雨 忍耐は快楽の門なり 午前中、露木、時澤(妹)、内藤氏来たる。父母は大森に箪笥を買いに出たる。午後4時ごろ小微震あり。夜、湯に入る。父、規矩士兄散歩。山田清君より手紙来たる。夜8時頃大雨となり、雷もした。」 また台風で…

128.大正13年9月12日から9月20日まで。規矩士兄は米沢に演奏旅行に行く。

「9月12日(金)雨 時ある時に時を得よ 規矩士兄、夜、分教場にて、伊達氏、末吉氏の合奏練習をなす。11時頃帰宅す。帰宅後(夜半)、伊達氏より「米沢の音楽会主催者の住所を明日知らせよ」との電報あり。洋菓子を元泉方にあげる。神田でカバン(1円80銭)…

129.大正13年9月21日から9月27日まで。規矩士兄は秋田に演奏旅行に行く。豊増昇氏怪我。中央大学で学友が増えた。だいぶ涼しくなってきた。

9月21日(日)曇り 雨 朝、敬一兄、規矩士兄3人にて、銀座に旅行かばん(27円)を買いに行く。規矩士兄のみそれより分教場にピアノ練習に向かう。母は朝より本牧の北見方に行く。4時に帰宅。規矩士兄は正6時に家を出て、秋田演奏に向かう。あいにく降雨なの…

130.大正13年9月28日から10月4日まで。浅草オペラを見た。弁論会が面白かった。凮月堂のお菓子をもらった。

9月28日(日)晴 午前9時に万世橋で氏森君と会し、上野公園を散歩する予定であったが、10時になっても氏が見えぬので、余は単身浅草に向かう。浅草公園は震災前と同様、すこぶる賑やかだ。50銭を投じてオペラ館に入った。まことに幼稚なオペラである。本日は…

131.大正13年10月5日から10月11日まで。雨が多い。一家して順番に風邪をひく。

10月5日(日)曇りのち雨 朝、虎之助氏来訪。洋服屋主人、規矩士兄のモーニングコートの仮縫いに来たる。母は珍しく杉田に遊びに行く。杉田のおばさん、おしげ氏、皆に会う。杉田名産梅漬を2個いただく。朝、10時ごろに家を出て、7時半ごろ帰宅。夜食は敬一…

132.大正13年10月12日から10月16日まで。池上本門寺のお会式で大賑わい。暴風で寝られない。

10月12日(日)曇りのち晴 青年再来らず一日晨なし 今日は池上本門寺の御会式である。朝のうちは降雨であったが、だんだん青空が見え、午後からは快晴となった。 朝、洋服屋、規矩士兄のモーニングコートの仮縫いに来たる。ついで虎之助氏来訪。更に杉田の庄…

133.大正13年10月17日から10月30日まで。鹿嶋神社の奉納相撲。調律師の中谷氏が来る。マツタケ。東京音楽学校学友会演奏会。三郎氏「受験と学生」に「東京音楽学校紹介」という投稿(記事?)を出す。規矩士兄は岡山・広島に出張演奏に行く。

10月17日(金)曇り 風 神嘗祭 君子は其独を慎む 段々と寒くなってくる。 (三郎さんの日記が短い。) 10月18日(土)晴 本日、明日は鹿嶋神社の本祭である。夜、父、規矩士兄と3人で参詣に出る。明日は境内の広場で相撲がある。土俵を中心に方形の立派な桟…

134.大正13年10月31日1 高尾山に遠足に行く1

10月31日(金)曇り 天長節 中大専門部経済科1年生のクラス会の代わりに、高尾山遠足をせんと言うので、余もその団体に加入することにした。本日午前6時半までに新宿駅前に集合するのである。余は4時に起きて、飯を済ませ、昨夜買っておいた菓子パンを携帯し…

135.大正13年10月31日2 高尾山に遠足に行く2

(続き) 「この辺りには茶屋が多く、登山者は休憩している。これより坂道となる。杉並木の坂道は少し滑るような具合であった。道は登るに従い細く、急になってくる。汗はだくだく出る。途中で休んでいる人もある。余は休まず上までやっつける。」 三郎氏が…

136.大正13年11月1日から11月2日 日比谷公園に行く。軍楽隊。

11月1日(土)曇り夜雨 月謝11月分6円也を納入す。午後、平岩君を家に案内す。3時に帰宅さる。虎之助氏、新聞を見に来たる。父は本日鶴見花月園の入場券があったので行く。今日は国勢調査。 11月2日(日)晴のち曇り一時風 朝9時より音楽会を聴くため、日比…

137.大正13年11月3日から11月8日 規矩士兄、岡山、広島から帰る。海軍軍楽隊の演奏会に行く。規矩士兄浦和に演奏旅行。

11月3日(月)晴 明治神宮大祭 中大休業。敬一兄も休み。日中父母は日比谷に菊を見に行く。 虎之助氏遊びに来たる。頭髪を刈る。 夜、8時ごろ規矩士兄を迎えに大森駅に出る。特別急行にて横浜まで来たり、乗り換えて8時半に着く。岡山、広島の土産でいっ…

138. 大正13年11月9日から11月12日 勤倹週間。『ノートル=ダム・ド・パリ』の映画を見に行く。規矩士兄高熱で倒れる。代理で大塚淳氏に楽譜を返しに行く。

11月9日(日)晴 風 青年再来らず一日晨なし 朝、洋服屋、規矩士兄のオーバーの見本を持って来たる。 珍しく吉川君来訪。2人して東京に行く。上野公園にて童顔社第一回展覧会(入場無料)を見る。それより帝国美術院の第5回美術展覧会(10月15日より11月20日…

139. 大正13年11月13日から11月22日まで。虎ノ門事件の判決。お友達と日比谷に演奏会に行く。 

11月13日(木)晴 朝、本牧の兼吉氏、杉田のおばさん危篤を知らせに来たる。母は兼吉氏と同伴して杉田に行く。昼頃号外出る。虎之助氏は朝、4時頃起きて大審院に行ったが、もはや満員にて入場拒絶なりしと。虎ノ門事件は昨年の12月27日の事なり。規矩士兄、…

141. 大正13年11月24日から26日まで。中大でちょっとしたもめごと。東京音楽学校にてベートーヴェンの第九の演奏会チケット争奪戦。

11月24日(月)曇りのち晴 本日熊野氏、英語の時間に『アメリカンビジネス』の中の資本についてと、小売業についての2問題を試験用紙に書けと指摘さる。一同大いにに困る。父は腰が痛むので、寝ている。また経済学休み。湯に入る。 11月25日(火)晴 本日、…

142.大正13年11月27日から11月30日まで。東京外国語学校の国情展覧会に行く。東京音楽学校での第九公式初演

11月27日(木)晴 朝、神田にて規矩士兄に頼まれて「元泉氏に入場券売り切れ」の手紙を速達にて出す。時澤、西宗、田崎、黄、岡氏等来たる。また新たに(空欄)氏来たる。風月菓子をくださる。夜、湯に入る。 11月28日(金)晴 本日は音楽会の試演。満員の盛…

143.大正13年12月1日から12月7日まで。ジンバリストの演奏会。第九の演奏会の事故。第九の追加公演

12月1日(月)晴 12月分月謝を払う。経済学の試験は15日と決定す。父、東京に遊びに出て、月島校に寄る。夜、父は竹須さんの湯に行く。吉川君に昨日の礼手紙を出す。 12月2日(火)晴 時澤方より亀屋洋菓子をくださる。規矩士兄、武高日。夜、田坂、竹澤、藤…

144.大正13年12月8日から12月17日まで。腕時計を買ってもらった。中大で試験があった。親戚が亡くなった。敬一兄は風邪。

12月8日(月)晴 父、山上方に移転祝いに出る。午前中虎之助氏、来訪さる。父、三又にて余の腕時計(7円80銭)を買う。6時頃2回小微震珍しくあった。湯に入る。」 三郎氏は腕時計を買ってもらいました。下のウェブサイトによると、関東大震災のあと、ちょう…

147. 大正13年12月22日から12月26日まで。お歳暮の季節です。兵庫蒲鉾、西洋剃刀、ハンカチ、下駄、昆布、風呂敷。敬一兄は女子音楽学校の冬期講習会の講師をする。

12月22日(月)晴 今朝は非常に寒かった。敬一兄、本日より月島校に出る。隣の後藤氏、我が家の井戸に着物を着せる。毎朝井戸が凍ってしうので、母、困る。午後、父散歩に出る。また、国民新聞の見本を入れる。夜、山田君に返事を出す。また赤山修三君に時候…