田中三郎の日記

大正12年から13年の日記。横浜における関東大震災そして東京移住・東京音楽学校・大正時代の市井の人々の生活。

大正13年12月

143.大正13年12月1日から12月7日まで。ジンバリストの演奏会。第九の演奏会の事故。第九の追加公演

12月1日(月)晴 12月分月謝を払う。経済学の試験は15日と決定す。父、東京に遊びに出て、月島校に寄る。夜、父は竹須さんの湯に行く。吉川君に昨日の礼手紙を出す。 12月2日(火)晴 時澤方より亀屋洋菓子をくださる。規矩士兄、武高日。夜、田坂、竹澤、藤…

144.大正13年12月8日から12月17日まで。腕時計を買ってもらった。中大で試験があった。親戚が亡くなった。敬一兄は風邪。

12月8日(月)晴 父、山上方に移転祝いに出る。午前中虎之助氏、来訪さる。父、三又にて余の腕時計(7円80銭)を買う。6時頃2回小微震珍しくあった。湯に入る。」 三郎氏は腕時計を買ってもらいました。下のウェブサイトによると、関東大震災のあと、ちょう…

145.大正13年12月18日から12月20日まで。東高の成績表。お歳暮の季節。豊増昇レッスンに復帰。

12月18日(木)晴 敬一兄、日中しばらく起きている。夕方、相生町の角蔵氏来訪。明日、杉田の葬式に出席するとのことで、香料(5円)をついでに届けてもらう。露木氏、「受験と学生」を返す。 12月19日(金)晴 夕方竹須おばさん来たり。稲荷寿司をくださる…

146.大正13年12月21日 久しぶりに横浜へ。親戚を訪ねる。

12月21日(日)晴 9時半に余は家を出て、横浜本牧に向かう。横浜駅まで往復57銭である。 一年ばかり横浜方面に行ったことがないので、だいぶ変わった。横浜駅はほとんど内部の修繕が出来て、昔の様になった。駅前も整理が出来て、以前の横浜を思い出した。市…

147. 大正13年12月22日から12月26日まで。お歳暮の季節です。兵庫蒲鉾、西洋剃刀、ハンカチ、下駄、昆布、風呂敷。敬一兄は女子音楽学校の冬期講習会の講師をする。

12月22日(月)晴 今朝は非常に寒かった。敬一兄、本日より月島校に出る。隣の後藤氏、我が家の井戸に着物を着せる。毎朝井戸が凍ってしうので、母、困る。午後、父散歩に出る。また、国民新聞の見本を入れる。夜、山田君に返事を出す。また赤山修三君に時候…

148.大正13年12月27日から12月29日まで。敬一兄は忙しい。お歳暮に鴨一羽来る。

12月27日(土)曇りのち一時小雨 午前中、時澤、朝比奈、池田メーブル、市川氏来訪。市川氏は指を負傷せるにより、授業はせず。歳暮としてネクタイ2本をくださる。氏の話によると、鶴見の副島氏は稽古を今後辞める由。池田氏はクリスマスの贈り物として靴下…

149.大正13年12月30日から12月31日まで。いよいよ年末(日記最後)

12月30日(火)曇り 朝、隣家の後藤氏より玉子折をくださる。竹須方より生花を貸してくださる。粟餅本日来たる。余は少し風邪の気分だ。父の風邪も完全に治らぬ。夜、田坂、井口、竹澤、中西、伏島(弟)来訪。田坂氏は亀屋5円切手を、中西氏は伊藤呉服店5円…